來日方長 lái rì fāng cháng

注音符號 ㄌㄞˊ ㄖˋ ㄈㄤ ㄔㄤˊ

まだまだ時間はあるからチャンスもある、という激励のような言葉でしょうか。
自分に対しても他人に対しても使えるようですね。

こんな記事に使われていました。

昨年11月末の統一地方選で選ばれ、同12月に就任したばかりの直轄市の市長が行政院の閣議に呼ばれて出席したというニュース。再選組(台北市長と桃園市長)は特に行政院に対する提言(とあるが要望なんでしょうかね)をしなかったが、新たに選ばれた4人の市長が提言をおこなったそうです。

閣議の具体的な中身は記事ではほとんど取り上げておらず、高雄市長の就任前のインタビュー内容が主でタイトルにもなっています。


❝韓國瑜也提出了「施政紅綠燈」,將高雄的建設分為綠燈、黃燈、紅燈三個等級,認為這個是未來在推動跟中央合作的時候,三個不同的進度跟類型,不過因為來日方長,所以這三個類型中有包含哪些建設細項,韓國瑜則也沒有多談。❞

「(このたび就任した)韓國瑜高雄市長は「施政信号」というフレーズを提示し、高雄の建設(公共事業のことでしょう)を信号のように青、黄、赤と3つのレベルに分け、今後中央政府と協力して取り組む際にはこの3つのレベルとカテゴリーに分けて進めたいとしたが、まだ「来日方長」のため3つのカテゴリーにそれぞれ何が含まれるか細かいことについて多くを語らなかった」

なんといういいかげんな話でしょうか。ニュースもそうですが、この高雄市長が、です。前市長の業績にケチを付けたいの(がミエミエ)か、施政信号などという意味の分からないフレーズで公共事業を進めるぞー、でもまだまだこの先長いからなー、と具体的なことは何も言わなかったのです。なんじゃそりゃ。

このおっさんの言っていることは結局、中国資本に市場を開放するという話だけがかすかに具体的であり、マニフェストも実に中身はないです。でも今回、演歌歌手のようなケレン味たっぷりの節回しがうけたのか、市民の熱狂的な支持で当選してしまいました。テレビのニュースチャンネルを回すと、明らかに緑寄りなチャンネルを除き連日のように取り上げています。内容は、就任式でカクテルドレスを着た娘を映し、彼女は最高のスポークスマンであるだとか、17歳の姪っ子にまでマイクを向けておじさんについて聞くという…。呆れたのは、市長夫妻の写真をあろうことか蒋介石夫妻の写真と並べ、往年の総統夫妻のようである、とまで言っているニュース。ニュースなのかそれは。FOXニュースか。

と、本題からそれました。この言葉、将来についてお茶を濁すときにも使えるのですね。

もうひとつ。

こちらは台湾最速の短距離走者が、年に一度のスポーツ選手を表彰する「精英獎」の受賞をまたもや逃したが、21歳だからまだまだチャンスはある、という意味で使われています。初ノミネートが2013年、ずっと受賞を有望視されているのに2018年も逃してしまったそうです。


❝來日方長,年僅21歲的「台灣最速男」只要繼續奮戰,加冕最佳男主角應該只是時間問題。❞

わずか21歳、引き続き戦いさえすれば、最優秀主演男優賞(精英獎)は時間の問題である、と激励しています。

この中でもうひとつ気になった表現が。「陪榜」です。

業績や評価を競い合うときに、「この人でキマリ」な鉄板の候補者がいて、それ以外の人が置かれた残念な境遇を指すのですね。2018年輝く!レコード大賞に輝かなかったDA PUMPがそうだったんでしょうかね。台湾におる自分にも聞こえてくるくらいなので、2018年はあれ以上のヒットはなかったと思いますが。

※20190102追記:「引き立て役」という日本語がわりと近いのでしょうか。「最優秀主演男優賞」という言葉も使ってますしね。

ちなみに本日取り上げたこの「來日方長」は先週、10年来の付き合いの友人3人のLINEグループで、友人Yが友人Hに向けて言ったことば。

その日は3人で食事をして、ふと友人Yが次に海外旅行に行くとしたらどこへ行きたいかという話題を持ち掛けました。自分はまだ行ったことのないヨーロッパ(でもいろいろあるし場所によって全然違うよと言われ)、友人Hはアフリカもいいなあということで、いつもの通りそれならいくらかかるとかそんな話で終わり。

その後、YからLINEグループに中華航空の2019年夏ヨーロッパ行きが安いという情報が。Hが「この一年は母に付き添いたい」と言うと、Yが「來日方長」と返してきました。
「まだまだ時間はある(のでチャンスはこれからいっぱいある)」と。立派な中年とは言え人生まだまだ先は長いですからね。

ちなみにYは母親を20代で、父親を30代で見送っています。Hは父親を5年ほど前に亡くし、現在母親の介護中。三人きょうだいと母の4人家族で、ちょっとほかの家族と違うのは、きょうだい交代で介護すればいいものを、母親は子ども三人がずっとそばにいないと機嫌が悪くなるとのこと。とは言え、三人とも仕事があってそれなりに忙しいので、インドネシア人のヘルパーさんを住み込みで雇っています。

二人が大変な思いで両親の看護・介護をした(している)話はよく聞くけれど、そのたびに自分は「好命」=運がよかった、と言われます。そうですね。うちの両親は年々年老いてはいるけど年の割に健康だし、病院通いもしていません。しばらくはこのままでボチボチやってほしいなあ。とはいえ、「來日方長」とはのんきに言ってられないのでしょうか。